2021年3月11日の「コロナ時代の銀河」公演公開に向け、過去の公演の一部を朝岡英輔が撮影した写真と共に紹介する「銀河鉄道 写真館」を開館(オープン)します。
2012年12月24日(SARAVAH東京)
選者:小島ケイタニーラブコメント
この公演だけは、ほぼ記憶がない。というのも、このとき自分が高熱を出して、意識朦朧の状態だったからだ。僕は車掌役だった。意識朦朧の車掌が運転する汽車が一晩駆け抜けたと思うと、後から思えばぞっとするが、言うまでもなく銀河の仲間が僕を最後まで走らせてくれたのだ。本番だけでなく、リハーサルや楽屋におけるすべての瞬間、よろよろと歩く僕の足下を、銀河チームが”文字通り”支えてくれた。おそらく「ありがとう」の一言さえも言えなかったと思うが、あのときの感謝の気持ちは記憶よりも遥かに強烈に胸に刻まれている。あやふやな記憶の中、覚えているのが一つだけある。リンゴを握った手の感触だ。劇中でリンゴを銀河鉄道の乗客に落とさず、確実に手渡すのが、車掌・兼・歌手である僕の大切な使命だった。それまでは自らの不安を投げ出すように、見えない闇に向かって歌う日もあった。しかし、この日を境に、握ったリンゴをしっかりと手渡すように言葉と歌を届けよう、と意識がはっきりと変わった。
朝岡英輔select
2013年3月2日(東京国際文芸フェスティバル)
選者:河合宏樹コメント
この日は、朗読劇「銀河鉄道の夜」に関わって初めて、自分が撮ってきた彼らの映像を上演と共に上映した(個人的には上演作品の一部だと捉えていた)日。
自分もメンバーと言うのはおこがましいが、この写真は上演後に、メンバーに呼ばれてお客さんに挨拶した瞬間だ。
私、若い。あの日も少し自分が成長した瞬間だと勝手に思っている。
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2013年3月11日 (Rainy day Bookstore& Café)
選者:古川日出男コメント
写真はサカタアキコさんの造ってくれたオブジェ。じつはピアノの上に載っている(私が飾った)。このような三つの「シンボル」に、どうやったら息を、生命を吹き込めるかを考えたのが Rainy day 公演だった。地下室的な会場である Rainy day には一階から続いている階段がある、それからピアノがある、それからガラスの壁があって出演者たちがそこに「ダブル(二重、双子)」となって映る。最後の、ガラスに「ダブル」が映る、という要素が、この公演には「被災地」を映像として導入しなければならない、そこにあの日以降の・あれらの土地の「ダブル」を、との演出的な発想の根拠となった。だから私たちのうちの何人かが、公演の前々日と前日とに被災三県に入って、撮影を行なった。花巻、大船渡、陸前高田、気仙沼、新地。強い強い思いをこの公演に入れた。終演後、しばらく私は控え室から出られなかった。少し泣いてから、控え室を出たら、スタッフの一人が強くハグしてくれた。そういうことを憶えている。
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今後の公開予定
第2回 2月17日公開
第3回 2月24日公開
第4回 3月3日公開
第5回 3月10日公開