写真館(第3回)

2021年3月11日の「コロナ時代の銀河」公演公開に向け、過去の公演の一部を朝岡英輔が撮影した写真と共に紹介する「銀河鉄道 写真館」を開館(オープン)します。

2014年7月20日(明治大学)

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選者:管啓次郎コメント

定員1200名! 冗談みたいにでかいホールで、7月の銀河を試みることになった。フルサイズの舞台をじゅうぶんに生かし、たくさんの椅子を並べたり、大スクリーンを使ったり、走ったり、跳ねたり。川島くんの音響が、いつにも増して、星屑のようにきらめく音を降らせてくれた。終わってみてびっくりしたのは、外が土砂降りだった(らしい)こと。天地を動かすとまではいわないが、自然力との呼応はこうして突然生まれる。たぶん、稲妻のような力のある舞台になった。

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大きなスクリーンに河合さんが撮影した映像が流れて(室内で撮り下ろした、光の中に羽が舞っているものだった)ドキュメンタリーだけではなくイメージを表現する映像も撮るんだ、と少し意外に思ったのを覚えている。柴田さんのリンゴの木が進化してアップルヘッド人間になっていた。大きな会場での『銀河』はとても良いものだった。開演前に見た緞帳裏に貼られている巨大な「火の用心」、楽屋の大きな搬入用エレベーターに演者4人+私の5人で乗った時の静かで高揚した時間、公演中クライマックス近くの大事なシーンで足音を立てて歩いてしまい来ていた方に後で注意された事など、変な断片ばかり何故か思い出す。

2014年7月27日(ヴァンジ彫刻庭園美術館)

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選者:古川日出男コメント

美術館での公演は、私に「この朗読劇も(空間的な)美術にしなければならない」と強いる。そんなことは誰も強制していないのかもしれないが、私はやはり、空間的美術・時間的美術・言語的美術として、そこに朗読劇を存在させたい、とどうしても思ってしまう。まず考えたのは、すでに展示されている彫刻たちも演者とすることで、それから会場の入り口と出口の方向性を逆転(じっさいには90度の回転)させること、二階も用い、床も用いて、観客には見えない「巡回通路」も舞台の一部として使用してしまうこと。その全容(全体像)をつかめているのは、たぶん、私一人だったのだとは思うけれども、この写真は何かをきちんと伝えてくれている。それから「屋外からの風を、この屋内に吹き込ませる」という狙いもあって、そこは演出的にきちんと導入した。どの建物が、どのような土地に建っているか、そこの地形とそこに流れた時間。それらを織り込まないかぎり、できあいの舞台を「運んできましたよ」と押しつけるだけだ。そういうことをしない、ということを私は最初期から決めて、いつも銀河に臨んでいた。

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クレマチスの丘は三島駅からバスで登った山の上にある。そこに建っている幾つかの美術館のひとつ、ヴァンジ彫刻庭園美術館の中で『銀河』が上演された。空が広く気持ちの良い庭から全力で駆け込んでくる古川さんと管さん。ががががが、と大きい音を立ててガラス戸が開くと、風と2人が跳び込んできて『銀河』がはじまった。気持ちが爽やかになるような素敵な瞬間だった。館内の彫刻たちもじっとしながら共演しているように見えて、一緒に撮影した。
今後の公開予定

第4回 3月3日公開

第5回 3月10日公開

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